原爆(核)が破壊できないもの ー生きる力ー

原爆(核)が破壊できないもの ー生きる力ー

どん底から這い上がった人間とは、まさにこういう人を言うのだろう。
広島の、被爆された沼田鈴子さん(当時21歳)の実話だ。(「語り継がれる戦争の記憶 3」講談社漫画文庫ーヒロシマの証言者ー)

麻酔薬が不足する状況下、被爆した片足を切断された時の彼女の悲鳴は、病院中に響き渡ったという。
婚約者を戦地で亡くし、世間からも偏見の目でみられ差別され、絶望のあまり死のうとした彼女を救ったのは、
被爆で半分黒く焼けながら新芽を吹き出していた青桐だった。

必死に生き続ける青桐からこんな声が聞こえたそうだ。
「死んじゃだめだよ・・生きることはつらいかもしれない・・でも生き続けていれば、楽しいことやうれしいことだっていっぱいやってくるんだよ・・
 あなたは生かされたんです・・どうか原爆で亡くなった多くの人の分まで生きてください・・・」

こうして彼女は、修学旅行で訪れる学生に被爆体験の話を聞かせる活動を始めていく。
しかし、やがて頻繁に義足で歩く片足に痛みが走り、医師からこんな言葉を浴びせられた、
「もうこの活動は止めてください・・子供なんて、その場限りですよ。感じて聞いてくれても日が変わればすっかり忘れてたりする・・そんなもんです」

自分の活動に自信を失いかけたある日、かつて被爆体験の話を聞かせた学生達から文化祭の招待があった。
その学校に行ってみると、教室のど真ん中に・・な、なんと原爆ドームの模型が、ドーンと置かれてあった!!

あの時、沼田さんの話に感涙した学生全員が一丸となって、毎晩遅くまで残って作り上げたそうだ。
 ”よかった・・・自分のやってることは無駄なことじゃなかったんだ・・心をこめて話をすれば、それは必ず彼らに伝わってくれるんだ・・”
彼女は、涙を流しながら学生たちに深く感謝した。

そして、これからどんなに辛いことがあっても、自分の信念を貫こうと揺るぎない決意をする。
 ”続けていこう!・・歩けるかぎり、命あるかぎり!大きな大きな平和の芽が育つように・・私は証言活動を続けていくんだ!!”

**私は、この沼田さんの記録を読み終えた時、なぜか心の底からうねるように湧き上がって来るものがあった。

 地上のあらゆる生き物は、生きようとする本能を持って生まれてくる。

どれだけ可能性を奪われようと、1%でも命の望みがあればその命に炎を灯そうとする。
沼田鈴子さんも、心のどこかで ”生きたい、生きたい・・”と思っていたからこそ、青桐に触発されたのではないか。

将来この星が核によって廃墟になったとしても、目には見えない小さな蠢く生命が、きっとこの星を再生させるはずだ。
人間だって、生と死のはざまを彷徨した人ほど、たくましい人生を創造できる。

もう一度言おう。原爆(核)でさえ破壊できない唯一のものとは ー生きる力ー だ。

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