演技のレベルは4段階ある?
演技のレベルは4段階ある?
私が通う都内の演技スクールの講師によれば、
演技には4段階のレベルがあるという。
まず、第1段階として、最も優しいというか演技を意識しない演技、
つまり、普段日常生活の中でしている自分の言動である。
第2段階として、”自分という人物”として言動ができる俳優。
つまり、舞台の上でまたはカメラの前で、ワザとらしくなく
自分らしい言動ができること。
第3段階として、”役の人物”として言動ができる俳優。
つまり、自分の性格を”役の人物”の性格に可能な限り近づけ、
あたかも”役の人物”が自分に乗り移ったかのように、
自然に言動ができること。
第4段階は、”役の人物”として言動している俳優。
つまり、自分の性格が”役の人物”の性格にピッタリとハマり、
まるで、その役が自分のためにあるかのように言動していること。
そして、以上どの段階のレベルでも
共通して把握しておくべきことは、
思考ー>感情ー>言動
の流れである。
たとえば、第2段階では、木村拓哉が好例である。
拓哉は、どんな役をやるときでも、
自分という「思考(価値観)」を維持したまま、
自然に感情を出し、言動している。
第3段階では、山田孝之が挙げられる。
彼は、自分の思考を”役の人物”の思考におきかえ、
その変えた思考に従った感情ー>行動をとることができている。
その上で
第4段階で留意すべきは、
類型的な感情に流されないことだという。
たとえば、「悲しい」という感情でも、
いろんなタイプの悲しさの感情があり、
それでさえ、時と場合に応じて微妙に変化するにもかかわらず、
平面的、一面的に捉えて客観的な表現をしてはならない。
これをすると、日常の言語からかけ離れてしまうからだという。
ところで・・
自分の思考を”役の人物”の思考におきかえるという
ハードルの高い作業をするには、
どんな稽古をしたら効果があると思いますか?
・・・それは
たとえば、疑り深い人物の役だとしたら
そういう性格になってしまった過去の経歴を
具体的に創作してみることである。
どんな地域でどんな両親の元に生まれ、
どんな友人・学校環境の中で育ち、どんな仕事につき、
どんな人物との出会いがあり、・・・そして
どんな裏切りにあったのか・・・・等々
できるだけ詳細な経歴・人物像を作れるほど、
鮮明にその人物の髪型、目つき、しぐさ、口癖などが浮かび上がってくる!
そうなったらしめたもの。
頭のてっぺんから足指の先までこの人物になってしまったあなたは、
もはや舞台から離れても、猜疑心の強い人物として振る舞うようになってしまい、
しばらくは、そこから抜け出せなくなります。
以上、いろいろお話ししましたが、いかがでしたか?
演技って、ホント奥が深いんですよねえ〜
だから、一度でも演技の醍醐味を味わってしまうと、
その世界にのめり込んでしまう人の気持ちって、よ〜くわかるんです。